○宮津与謝消防組合火災調査規程
平成20年7月28日
消本訓令甲第2号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因並びに火災及び消火により受けた損害を明らかにすることにより、火災の予防及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(用語の意義)
第3条 この規程において、用語の意義は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付け消防災第100号消防庁長官通知。以下同じ。)に基づくものとする。
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 発見、通報の状況
(6) 避難の状況
(7) 消防用設備等の状況
(8) 死傷者の状況
(9) その他必要な事項
3 火災損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
(調査責任)
第5条 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内の調査の責任を有する。
(調査の統括)
第6条 署長は、組織及び機能を活用し、調査業務全般の統括に当たらなければならない。
(体制の確立)
第7条 署長は、調査に必要な人員及び資機材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 署長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。
(調査の実施)
第8条 署長は、管轄区域内に火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 調査の担当区域は、宮津与謝消防署の組織に関する規程(平成9年3月31日消本訓令甲第2号)のとおりとする。
3 署長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
4 署長は、火災調査報告書作成責任者(以下「作成責任者」という。)を指名するものとする。
5 作成責任者は、調査報告書作成者に対し必要な指導や助言を行い、調査書を適正かつ迅速に作成する責務を有する。
6 署長は、第3項の調査員以外の職員を調査に従事させることができる。
(調査員の心得)
第9条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(3) 関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 関係のある場所へ立ち入るときは、関係者の業務をみだりに妨害してはならない。
(5) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。
(調査の原則)
第10条 調査は、法に定める事項に限り行うものであって、犯罪の捜査に関与してはならない。
2 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち、事実の立証に努めなければならない。
3 調査は、人的調査及び物的調査を併用して行い、火災の原因の判定に当たっては、物的調査による事実の立証に主眼を置かなければならない。
(火災現場の見分)
第11条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出向いたときは、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、その他関係者の言動等を見聞したことを、現場指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立ち会いの下に行う。
3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(消火活動中の保存)
第12条 消防隊の指揮者及びその隊員は、消火活動に当たっては、細心の注意を払い現状の保存に努めなければならない。
(現場の保存)
第13条 署長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(死者が生じている場合の扱い)
第14条 署長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(質問)
第15条 調査員は、関係者等に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 前項による質問に当たっては、任意かつ自由な状態においてこれを行い、必要以上に迷惑を及ぼし、個人のプライバシーを侵害することのないようにし、かつ、捜査機関の行う捜査に支障をきたさないよう注意しなければならない。
3 第1項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。
4 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)に対する質問は、立会人の下に行う。なお、少年に係わる質問調書を作成したときは、立会人に署名を求めるものとする。
(被疑者に対する質問及び押収物に対する調査)
第16条 法第35条の2第1項の規定により、警察官に逮捕された被疑者に対し、質問し、又は押収された証拠物の調査を行うに当たっては、質問・証拠物件調査要請書により、所轄警察署長の了解を得て行わなければならない。
(照会)
第17条 署長は、必要があるときは関係機関に対し、必要な事項の通報を求め、又は照会をすることができる。この場合、火災調査関係事項照会書により行うものとする。
(資料提出等)
第18条 署長は、調査のため必要があると認めるときは、火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し若しくは輸入した者(以下「製造者等」という。)又は関係者に対し、任意で必要な資料の提出又は報告を求めるものとする。
2 署長は、前項の規定により資料の提出又は報告がされない場合は、資料提出命令書により資料の提出を命じ又は報告徴収書により報告を求めるものとする。
(資料の保管及び返還)
第18条の2 署長は、前条の規定により資料の提出があったときは、資料提出書の提出を求め、所有権放棄の有無を確認するものとする。
2 前項により資料の提出を受けたときは、資料保管書を交付するものとする。
3 資料の保管に関しては、保管票を付し、保管品台帳に記録してこれを保管しておかなければならない。
4 資料を返還するときは、資料保管書と引換えに行うものとする。
(鑑定)
第19条 署長は、火災原因調査に必要があるときは、鑑定依頼書により関係機関に鑑定を依頼することができる。
(調査記録)
第20条 調査員は、調査結果を次の書類に記録し、火災調査報告書に添付しなければならない。
(1) 火災調査書
(2) 火災原因判定書
(3) 火災出場時における見分調書
(4) 実況(鑑識)見分調書
(5) 現場付近見取図
(6) 建物平面図
(7) 出火点付近の復元図
(8) 現場写真
(9) 質問調書
(10) 防火管理等調査書
(11) 死傷者調査書
(12) 損害調査書
(13) 前各号に掲げるもののほか、その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
2 消防長は、火災の規模等により省略して差し支えない書類を別に定める。
(原因の判定)
第21条 出火原因は、実況見分、質問その他の資料等により知り得た事実に基づき、火災の原因となるあらゆる可能性について客観的かつ合理的に比較検討を加え、判定しなければならない。
(火災調査報告書の作成)
第22条 作成責任者は、火災を覚知した日から60日以内に火災調査報告書を作成し、署長に報告しなければならない。ただし、署長が特に認めた場合は、この限りでない。
2 前項の期限内に報告できない場合又は緊急に報告する必要があるときは、随時、調査の経過を署長に報告しなければならない。
(速報)
第23条 署長は、火災が発生したときは、速やかにその概要を消防長に報告しなければならない。
(報告)
第24条 署長は、第22条の規定により火災調査報告書の報告を受けたときは、消防長に当該火災の調査を完了した旨を、速やかに報告しなければならない。
(火災損害調査)
第25条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額は、火災報告取扱要領に基づき算出するものとする。
(り災の報告)
第26条 署長は、損害調査の資料とするため、り災関係者からり災申告書の提出を求めることができる。
(り災証明)
第27条 署長は、り災に関係のある者からり災証明申請書が提出された場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付することができる。
2 署長は、り災証明書を交付したときは、り災証明書交付記録簿に必要な事項を記載しなければならない。
(情報公開等)
第28条 火災原因その他調査事項について照会があったときは、宮津与謝消防組合情報公開条例(平成18年10月31日条例第6号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)によるものとする。
(証人等)
第29条 消防職員は、火災の原因その他調査した事項について、法令による証人等として出廷等を求められたときは、事前に署長に報告するとともに消防長と協議しなければならない。
(準用)
第30条 調査についてこの規程に定めのない事項は、火災報告取扱要領の例による。
(その他の事項)
第31条 この規程に定めるもののほか、火災調査書等の様式その他必要な事項は、署長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この規程は、平成20年8月1日から施行する。
(宮津与謝消防組合火災原因調査規程の廃止)
2 宮津与謝消防組合火災原因調査規程(平成4年9月1日消本訓令甲第2号)は、廃止する。
(経過措置)
3 この規程の施行日前に発生した火災の調査報告書の作成については、なお従前の例による。
附則(平成25年消本訓令甲第2号)
この規程は、平成25年12月1日から施行する。
附則(令和5年消本訓令甲第4号)
この規程は、令和5年4月1日から施行する。