○宮津与謝消防組合危険物流出等の事故調査規程

令和6年2月22日

訓令甲第1号

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)第16条の3の2の規定に基づき、製造所、貯蔵所又は取扱所(以下「危険物施設」という。)で発生した危険物の流出その他の事故(火災を除く。)であって火災が発生するおそれのあったもの(以下「危険物流出等の事故」という。)の原因調査(以下「調査」という。)について、必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、危険物流出等の事故の原因を明らかにして、類似事故再発防止対策及び火災予防の充実を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第3条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 本部調査員 消防本部予防課に所属する職員をいう。

(2) 署調査員 署に所属する職員のうち予防業務に従事する職員及び消防署長(以下「署長」という。)が指名した職員をいう。

(3) 関係のある場所 危険物施設以外の施設で起こった事故において、危険物流出等の事故の原因となった場所及び危険物が流出した場所をいう。

(4) 関係者 事故が発生した危険物施設その他当該事故の発生と密接な関係を有すると認められる場所の所有者、管理者若しくは占有者をいう。

(5) 関係のある者 事故に直接関与した者、危険物施設の従業員、事故の目撃者その他の危険物流出等の事故に関係する者をいう。

(調査の責任)

第4条 危険物流出等の事故が発生した宮津与謝消防組合管内(以下「管轄区域」という。)の調査の責任者は消防長とする。

2 調査の主体は、予防課長とし、予防課長が調査を行うことができないときの調査の主体は、署長とする。

(調査の実施等)

第5条 予防課長及び署長(以下「予防課長等」という。)は、調査について総括し、管轄区域に危険物流出等の事故を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。

2 予防課長等は、事故調査報告書作成責任者(以下「作成責任者」という。)を指名し、調査業務全般の統括に当たらせるものとする。

3 本部調査員は管轄区域の調査に、署調査員は宮津与謝消防署の組織に関する規程(平成9年消本訓令甲第2号)の担当区域の調査に当たるものとする。

(調査の基本)

第6条 調査は、危険物流出等の事故となった原因を調査するほか、発生に至った経緯、発生前及び発生時の作業の状況、事故の模様、関係者及び関係のある者の講じた措置、被害状況等を明らかにするものとする。

2 調査に当たっては、常に事実の究明を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断によって事実の立証に努めなければならない。

3 調査は、物的調査と人的調査を相関的に併せて行わなければならない。

(調査員の心得)

第7条 本部調査員及び署調査員(以下「調査員」という。)は、調査に必要な知識及び技術の習得に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員相互に連絡協調を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。

(2) 警察機関その他の機関と緊密な連携を保持して調査に当たること。

(3) 適正公平を旨とし、強制的手段を避け、穏健妥当な方法により、関係者及び関係のある者の協力を得るように留意すること。

(4) 調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。

(5) 調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないこと。

(6) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録し、及び保存すること。

(調査の区分)

第8条 調査は、危険物流出等の事故の規模を次の各号に区分して実施するものとする。

(1) 通常の事故調査 危険物施設において発生した火災以外の事故で、次号及び第3号に該当しない危険物流出等の事故の調査

(2) 詳細事故調査 次に定める危険物流出等の事故の調査

 危険物施設(製造所及び一般取扱所を除く。)から危険物が10キロリットル以上流出した事故

 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量の10倍以上流出した事故

 地下に埋設されたタンク又は配管から危険物が指定数量以上又は敷地外に流出した事故

 危険物の流出に起因し、死者が発生した事故

 容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所の基礎・地盤、タンク本体(屋根、浮き屋根又はインナーフロートタンクの浮き蓋を含む。)が破損、変形、沈下、傾斜などの異常な状態となった事故

 その他、消防長が類似事故の防止又は予防対策の必要性等の観点から、詳細な事故原因調査を行うことが必要と認めた事故

(3) 消防庁長官調査 次に定める消防庁長官が行うことが望ましい事故の調査

 容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所から危険物が100キロリットル以上流出した事故

 容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所以外の危険物施設から危険物が50キロリットル以上流出した事故

 製造所又は一般取扱所から危険物が指定数量の10倍以上流出した事故で事故原因の特定が困難なもの

 地震その他の特異な状況(地震等の自然災害又は構造上の問題(強度不足等)が推察される等の状況をいい、バルブの操作ミス、他の施設の爆発等の状況を除く。)により、容量500キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所の基礎・地盤、タンク本体(屋根、浮き屋根又はインナーフロートタンクの浮き蓋を含む。)が座屈、沈下、傾斜などの異常な状態となった事故

 その他、社会的な影響の大きな事故で、消防長が消防庁長官調査の実施が適当と考えた事故

(事故調査マニュアルの活用)

第9条 調査を行うに当たっては、危険物流出等の事故の調査マニュアルについて(平成20年消防危第317号消防庁危険物保安室長通知。以下「事故調査マニュアル」という。)を活用するものとする。

(消防庁長官調査の要請)

第10条 消防長が消防庁長官調査を要請する場合には、事故調査マニュアルに規定する連携要領により関係機関との調整を行い、調査体制を速やかに構築しなければならない。

(関係機関への通知及び通報)

第11条 消防長は、危険物流出等の事故に係る移動タンク貯蔵所が他の行政庁の許可施設である場合は、その調査結果について移動タンク貯蔵所事故調査通知書により当該行政庁に通知するものとする。

2 消防長は、危険物流出等の事故について犯罪の疑いがあると認めたときは、直ちに危険物流出等の事故の発生地を管轄する警察署長に通報しなければならない。

3 その他、宮津市、伊根町及び与謝野町の防災担当及び環境担当等、必要と思われる機関へ通報する。

(立入検査)

第12条 調査員は、その職務を行うに当たり、危険物流出等の事故の現場及び関係のある場所に立ち入って、その状況を検査しなければならない。

2 調査員は、前項の規定による立入検査に際し、関係者又は関係者の代理人の立会いを求めるものとする。

(調査書類の作成)

第13条 調査員は、事故の概要及び被害状況等を調査し、危険物流出等の事故に関する調査書類を作成しなければならない。

(実況見分)

第14条 調査員は、危険物流出等の事故の現場及び関係のある場所について実況見分を行い、調査資料の発見入手に努めなければならない。

2 実況見分は、作成責任者が中心となり、その指揮のもとに協力して組織的に行わなければならない。

3 調査員は、第1項の規定により実況見分を行ったときは、危険物流出等の事故に関する実況見分調書に、付近見取図、写真説明書、平面図等の必要な関係資料を添え、そのてん末を記載しておかなければならない。

(質問)

第15条 調査員は、原因の究明又は損害の把握のため必要があると認める場合は、関係者及び関係のある者に質問を行い、その事実の確認に努めなければならない。

2 調査員は、前項の質問を行ったときは、その内容を危険物流出等の事故に関する質問調書に記録するものとする。この場合において、記録した内容について被質問者に読み聞かせて記載内容に誤りがないことを確認し、署名を求めるものとする。

3 少年(18歳未満の者をいう。)に対する質問は、立会人の下に行う。この場合において、前項の質問調書を作成したときは、立会人に署名を求めるものとする。

(資料の提出及び受領)

第16条 調査員は、調査に関し必要な物件その他の資料について、関係者から提出を求めるものとする。

2 消防長は、前項の資料の確保が困難であると認められるときは、関係者に対し危険物流出等の事故に関する資料提出命令書により資料の提出を命ずるものとする。

3 前2項の規定により資料の提出をさせる場合は、当該資料の所有権の放棄又は資料の返却のいずれかの意思を記入した危険物流出等の事故に関する資料提出報告書を2部提出させるものとする。この場合において、当該報告書に資料を受領した旨を記入し、1部を提出者に返付するとともに、所有権を放棄しない資料の提出者に対しては、提出資料保管書を交付するものとする。

(資料の保管)

第17条 消防長は、前条の規定により関係者から資料の提出があったときは、危険物流出等の事故に関する提出資料処理経過簿に必要事項を記入し、紛失し、又は毀損しないよう保管するものとする。

2 前条第3項の提出資料保管書を交付した資料を保管する必要がなくなったときは、提出者に当該資料を還付するものとする。この場合においては、提出資料保管書に当該資料を受領した旨を記入させるものとする。

(報告徴収)

第18条 調査員は、第16条の資料以外のもので調査のために必要があると認めるものについて、関係者及び関係のある者から任意に報告を求めるものとする。

2 消防長は、前項の報告がされないときは、関係者及び関係のある者に対し危険物流出等の事故に関する報告徴収書により報告を求めるものとする。

3 前2項の規定により報告させる場合は、危険物流出等の事故に関する報告書を2部提出させ、受領した旨を記入し、1部を提出者に返付するものとする。

(原因の判定)

第19条 危険物流出等の事故の原因は、実況見分、質問調書及び提出された資料により知り得た事実を総合的に検討し、危険物流出等の事故の原因を判定しなければならない。

(調査書類の管理)

第20条 この規程により作成した調査書類は、予防課において適正に管理しなければならない。

(調査書類の作成)

第21条 作成責任者は、調査を終了したときは、危険物流出等の事故調査報告書及び危険物流出等の事故に関する原因判定書を作成し、危険物流出等の事故に関する原因判定書目録に次に掲げる書類のうち該当する書類を整理編さんするものとする。

(1) 危険物流出等の事故に関する実況見分調書

(2) 危険物流出等の事故に関する質問調書

(3) 危険物流出等の事故に関する資料提出命令書

(4) 危険物流出等の事故に関する資料提出報告書

(5) 提出資料保管書

(6) 危険物流出等の事故に関する報告徴収書

(7) 危険物流出等の事故に関する報告書

(8) その他必要な書類

(報告)

第22条 作成責任者は、調査が完了したときは、速やかに前条の調査書類で予防課長に報告しなければならない。

2 予防課長は、作成責任者から危険物流出等の事故調査報告書の報告を受けたときは、消防長に当該事故の調査を完了した旨を、速やかに報告しなければならない。

3 予防課長は、危険物流出等の事故の調査が長期にわたるとき又は特に必要があるときは、調査の経過について消防長に報告し、緊密な連絡保持に努めなければならない。

(その他)

第23条 この規程に定めるもののほか、様式その他この規程の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。

この規程は、令和6年4月1日から施行する。

宮津与謝消防組合危険物流出等の事故調査規程

令和6年2月22日 訓令甲第1号

(令和6年4月1日施行)