○救急救命士制度運用規程

平成7年9月1日

消本訓令甲第2号

(趣旨)

第1条 この規程は、救急救命士法(平成3年4月23日法律第36号。以下「法」という。)に基づく救急救命士の運用について必要な事項を定める。

(用語の意義)

第2条 この規程における用語の意義は、次に掲げるところによる。

(1) 救急救命士とは、法第2条第2項に規定する救急救命士(以下「救命士」という。)をいう。

(2) 救急救命処置とは、次に掲げる処置をいう。

 半自動式除細動器による除細動

 乳酸加リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液

 食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又はコンビチューブによる気道確保

 精神科領域の処置

 小児科領域の処置

 産婦人科領域の処置

(3) 心電図伝送装置とは、救急事故現場及び救急自動車(以下「救急車」という。)内から救急患者の心電図波形等を医療機関に送信する機器一式と、医療機関において送信装置から送られてくる救急患者の心電図波形等のデータを受信して医師が判断を行う機器一式の総称をいう。

(4) 心肺機能停止状態(以下「CPA」という。)とは、次に掲げる状態が観察された場合をいう。

 循環機能停止状態

心電図上において、心室細動、心静止及び電導収縮解離の場合又は、臨床上において意識がなく、総頸動脈、大腿動脈(乳児の場合は上腕動脈)の拍動が触れない場合

 呼吸機能停止状態

聴診器等により観察した結果、自発呼吸をしていないことが確認された場合

(5) 特定行為とは、法第44条の規定により医師の具体的な指示を受けて実施する処置をいう。

(特定行為の実施範囲)

第3条 特定行為を実施する傷病者は、CPAとする。ただし、次に掲げる事項のいずれかに該当する場合は実施しないものとする。

(1) 親族が拒否した場合

(2) 事故現場の状況から実施できない場合

(3) 静脈路確保のため末梢静脈を駆血しても、静脈路が確認できない等技術的に困難な場合

2 特定行為を実施する場所は、救急車内とする。ただし、救急車に収容するまでにおいて処置が必要な場合はこの限りでない。

(特定行為の活動原則)

第4条 特定行為は、次に掲げる事項に基づき実施する。

(1) 医師の具体的な指示により実施する。

(2) 別に定める「CPAにおけるプロトコール」に基づき実施する。

(3) 傷病者の家族に対して説明を行うとともに同意を得て実施する。

(4) 傷病者の状態等からその処置が行えなかった場合は、特定行為以外の救急処置を継続するとともに、その旨を医師に報告し、指示を受ける。

2 特定行為対象の傷病者を搬送する場合は、処置等の障害及び安全管理上、救急車には家族及び関係者を同乗させないことを原則とする。

3 特定行為を実施する場合、次に掲げる事項を現場の家族及び関係者に対して、説明しなければならない。

(1) 傷病者の観察結果

(2) 医師から指示された処置の内容とその必要性

(3) 搬送先医療機関

(4) 原則として同乗できない理由

(指示医師)

第5条 救命士が指示を求める医師は、次に掲げるとおりとする。

(1) 京都救命指示センター(以下「指示センター」という。)に常駐する医師とする。

(2) 救急現場に医師が居合わせた場合は、居合わせた医師とする。

(医師との連携)

第6条 救命士は、医療情報を伝送することにより救急活動が円滑に進むと判断される場合は、携帯電話、心電図伝送装置等を積極的に活用する。

2 救命士が特定行為を実施するため、医師の指示を受ける必要のあるときは、その都度指示センターの医師に対し状況を連絡し指示を受けるものとする。この際、医師に伝える救急患者の病態内容は、次に掲げる事項とする。

(1) 傷病者の年齢、性別、既往症

(2) 傷病者が心肺機能停止状態にあること。

(3) 心肺機能停止状態に至った原因及び経過

(4) 心肺機能停止状態を確認するに至った観察結果

(5) 現在実施している応急処置の内容

(6) 現在地及び医療機関到着までの所要時間

(7) その他医師が求める事項

3 救命士は、特定行為を実施したときは、消防署長に活動状況を報告するものとする。

4 消防署長は、前項の規定により報告を受けたときは、活動内容を収容病院の医師へ連絡するものとする。この場合において、救命士にあっても携帯電話等を活用して、傷病者の状態、救急活動状況等の情報を積極的に連絡すること。

(救急救命処置患者の搬送)

第7条 前条により指示を受けた救急救命処置患者については、原則として心電図伝送装置設置医療機関に救急搬送するものとする。ただし医療機関においてやむを得ない事情により当該患者を収容できない場合は、他の医療機関に救急搬送する。

(医師との引継ぎ)

第8条 傷病者の引継ぎにあたっては、医師に救命士である旨を告げ、次に掲げる事項を報告する。

(1) 事故概要(発生状況)、発生年月日時分

(2) 傷病者の住所、氏名、性別、年齢

(3) 症状、観察結果、処置結果

(4) 指示を受けた医師の氏名及び指示内容

(5) 特定行為及びその他の救急処置内容

(6) 観察資器材による記録データ

(7) 特定行為実施者の所属、氏名

(8) その他必要事項

(伝送装置の点検等)

第9条 心電図伝送装置の点検は、定期的に行う。

2 心電図伝送装置は、始業点検を定期的に行って、機器が正常に作動することを確認しておくものとし、障害が生じた場合は機能回復に努める。

3 携帯電話等の不感地帯により通信不能の場合は、救急無線により通信司令室を経由した通話対応とする。

(特定行為の記録等)

第10条 救命士は、医師から指示を受けたときは、その指示内容を記録するものとする。

2 救命士は、特定行為を実施したときは、次に掲げる事項を別に定める様式の救急救命士活動記録に記載し、5年間保存するものとする。

(1) 救急救命処置を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢

(2) 救急救命処置を行った者の氏名

(3) 救急救命処置を行った年月日

(4) 救急救命処置を受けた者の状況

(5) 救急救命処置の内容

(6) 指示を受けた医師の氏名及びその指示内容

なお、法施行規則第23条の規程による救急救命処置録は、救急救命士活動記録によるものとする。

3 救命士は、前号の救急救命士活動記録を後日、医師に送付し、当該医師の確認と署名を受けるものとする。

4 救命士は、前3号の規程により指示医師の確認及び署名を受けた救急救命士活動記録の写しを医師会に提出するものとする。

(問題発生時の対応)

第11条 救急救命士制度の運用に関して問題が発生したときは、宮津与謝消防組合消防本部と医療機関が協議のうえ対応する。

(救命士の研修)

第12条 消防長は、救命士に対して次に掲げる研修を実施する。

(1) 定期研修 年1回実施

(2) 臨時研修 必要のあるとき。

附 則

この規程は、訓令の日から施行する。

救急救命士制度運用規程

平成7年9月1日 消防本部訓令甲第2号

(平成7年9月1日施行)